ふくなが眼科の日記

高槻のJR摂津富田駅から徒歩2分、ふくなが眼科のブログです。

眼科領域における人工知能(AI)の応用

最近は人工知能(AI)に興味があり、時間があればAI関連のことを調べています。

昨年はAIがついに囲碁のトップ棋士に勝利したことが大きな話題となっていましたが、「医は仁術なり」という言葉があるので、私としては医療分野にAIは向かないだろうと思い込んでいました。

ところがその後、「AI、がん治療法助言。白血病のタイプ見抜く」(2016年8月4日 日本経済新聞」のニュースを見て、医療分野にもAIが応用されていることを知ってからAIが気になり始め、眼科領域に応用できるのかを考えるようになりました。

白血病のような内科領域の疾患と眼科との大きな違いは数値か画像かです。血液検査の結果は数値化されるので、まさにコンピュータの得意とするところでしょう。これに対し、眼科は視力、眼圧などは数値ですが、細隙灯顕微鏡検査や眼底検査など画像の方が主体です。これは流石にまだAIにも判定が難しいだろうと考えていたのですが、ビッグデータの蓄積とAIのディープラーニングの実力は私の予想以上で、糖尿病網膜症に関して論文が発表されました。眼底写真から糖尿病網膜症をAIに判別させたという報告です。

”Development and Validation of a Deep Learning Algorithm for Detection of Diabetic Retinopathy in Retinal Fundus Photographs” JAMA. 2016;316(22):2402-2410

ふと振り返ってみると当院の検査機械でもすでにAIと言えるものはありました。前眼部解析装置CASIAは角膜形状解析結果から円錐角膜の確率を算出できますし、近年急速に普及した光干渉断層計(OCT)では網膜が薄くなっている部分を器械が分析して表示してくれます。特に円錐角膜の解析は比較的難易度が高いと思います。

ちなみに、何百万人ものOCT画像をAIに分析させてみると、眼病を発症する前の兆候や性差に至るまで、今まで人間には見えなかったものがどうやらAIには見え始めているようです。これからどのような発表があるのか大変興味深いものがあります。

そのような時代に一眼科医としてどうあるべきか、もっと勉強してまた述べてみたいと思います。